いつも始まりの場所にかえるようにしている。
そうすると大事なことが見えてくる。
中学生のときにアルフォンス・ミュシャが大好きで
でも今みたいにAmazonなんかないから
絵のポスターや、グッズを買うことはもちろん
作品を見る機会もなく、美術の教科書や、図書館に作品集があると広げて食い入るように見たものだ。
当時、缶コーヒーにミュシャのイラストがついていて
コーヒーなんて飲めないのに欲しくて欲しくて。でも限定缶だったのかなかなかなくて、やっと買って
家に帰ってきて牛乳で薄めてがんばって飲んだのを思い出す。
上を缶切りで抜いてペン立てにして並べていた。
大事なことは好きなことや好きなものに囲まれること。
高校生のときに作品集を借りてきて
文具屋で買った模造紙を広げて
必死に描いた模写。
ヘタクソで恥ずかしいけどこれがわたしの始まりの場所。
色鉛筆で必死に必死に色を塗り描いた。
自分の部屋に『羽根』があったらどんなに素敵だろう。
いつかおとなになったら『羽根』のある部屋に住むんだ。
夢を描きながら、行き詰まる部屋に窓を作るように大きく描いた、あの頃。
今年、そんなわたしのうちに『羽根』が来た。
忙しさにかまけて大切なことを無くしていた。
わたしはね、自分の大好きなものを伝えたい。
大好きなものにかこまれていたい。
見上げた我が家の『羽根』はわたしが描いたものより柔和な表情で笑う。
ようし、と息をいっぱい吸って今日も身体伸ばしてたのしもう!
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